地形教育の可能性

CSISの小口さんが,「地形教育をちゃんとやっていかなければいけない」という内容の発表(提案)を行われていた.帰りの新幹線で,それについてちょっと考えてみた.
地形教育をどうするかという問題は,いままでいくつかの学会で細々と行われていたに過ぎない.

  • 日本地理学会の学会発表で多少あるかないか.論文はない.
  • 日本地理教育学会の学会誌「新地理」は,地理教育の実践についての報文が掲載されるが,地形に特化したものはほとんどない.この学会が人文地理の論文+地理教育の実践という構成なので,学会自体に地形学者,自然地理学者があまり加入していない.
  • 最近できた全国地理教育学会には,高校教員の方が多く原稿を書かれていて,具体的な実践例がある.地形研究者は,学会に参加していない.
  • 日本地学教育学会では,小中の理科ということで,地形を扱う記事が時々掲載される.しかし,学会員には地形学者はそれほどいない(たぶん).
  • 日本地形学連合では,教員はほとんど加入していない.教育関係の発表,論文はない.

地形研究者と小中高で地形を教える人とが,ともに参加し,議論が活発に行われている場はない.教育現場において,教科書のある一定のページが,地形の内容であるため,教科書レベルの教育は行われているが,議論,情報交換の場がないため,教科書以上の深みのある内容を作り出していく仕組みがないように思われる.議論の場をつくることは,地形学の将来的な発展を考える上で重要であろう.日本地球惑星科学連合(JpGU)が地学教育の振興を重要視しているため,そこを議論の場とすることも可能である.あるいは,地形学の看板を背負っているJGUがその役割を果たすこともありうるだろう.ところで,JGUの趣意書を読むと,対象を研究者,技術者に限っている.これでは,教育関係者はあまり入らないであろう.このあたりについては,学会内での合意形成をはかっていく必要があるであろう.
高校教員は,熱心な人も多く,進学先に関しても有る程度影響力を持つため,その人たちに適切な情報発信をすることは,学会としては重要な仕事である.小中学校では,専門でない分野も広く教えなければいけないため,具体的な例や教育用の素材を提示していくことは大事である.小中高で地形の教育がどのように行われているかの実態調査もまずは必要であろう.教育分野に携わっている人が,地形をうまく教えられないのは,教員側の問題ではなく,その情報発信元にあたる研究者側の問題であると思う.学会で地形教育に関しての情報発信,議論が行われるようになれば,学会に加入する人が出てくるだろう.その人たちからのフィードバックも受けて,より深い議論ができるようになると思う.
JGUの問題に関連させれば,教員の学会員が増えれば,会員減少とそれに連動する財政悪化の問題も多少は緩和できるのではないか.