地震予知と社会

今週水曜日のたちかわ市民交流大学での講義の準備のため,地震予知に関して,資料など読む.以前買っていた「地震予知と社会」を読み直す.買ったときはそれほど感じなかったが,今読み返してみると,とてもおもしろい本.総研大のシンポジウムが元になってできた本のようだが,著者は,神沼克伊,溝上恵,島村英紀,杉原英和,泊次郎,平田光司の6人.最後に5人+数人で,総合討論となっている.日本の地震予知に深く関わってきた溝上氏,予知研究を批判し,最近いろいろあった島村氏,「プレートテクトニクスの拒絶と受容」で地団研を日本の地球科学史の俎上に載せた泊氏など,豪華な顔ぶれ.今となっては実現しない組み合わせだろう.これらの人々が地震の研究と社会の接点について述べている.地震の予知の問題は,地球科学の分野において,サイエンスコミュニケーションの問題を考えるときにはずすことはできないテーマである.それについて,このようなメンバーの書いたものが形で本になって,後から読むことができるのは大変うれしい.地震予知のありかたを社会に問う試みは,地震予知研究の進展に会わせて絶えず行われて良いものであり,現在進行の研究テーマを含むからこそ意味のあるものになる.この本の出版から5年以上経っているので,現代的な課題も踏まえて,再びこのような企画が立案されることを期待したい.

4772240462地震予知と社会
神沼 克伊
古今書院 2003-05

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