kmokudaiの読書日記と雑録

もともと読書日記としてはじめたので読書日記に戻します.あと,ちょっとした思いつきなど.研究っぽい話しは,https://researchmap.jp/kmokudai/研究ブログ/に書いてます

ボルネオの<里>の環境学

最近,ボルネオで調査を始めました.大阪市立大学の祖田さんと「了解可能な物語をつくる―河川災害とつきあうために」という論文を書きました.書いたとはいっても,構成やほとんどの内容は,祖田さんのもので,そのうちの1節「地形学的知見からみたラジャン川」について,調査を一緒にさせていただいた関係で,連名とさせてもらいました.

祖田亮次・目代邦康(2013)了解可能な物語をつくる―河川災害とつきあうために.市川昌広・祖田亮次・内藤大輔編『ボルネオの<里>の環境学―変貌する熱帯林と先住民の知』55-94.昭和堂.4200円.

著者割りで購入可能です.ご興味があれば,ご連絡下さい.また書評を書いていただける方も募集しております.

ボルネオの〈里〉の環境学―変貌する熱帯林と先住民の知

ボルネオの〈里〉の環境学―変貌する熱帯林と先住民の知

 

サイエンスアゴラでワークショップ

日本の各地のジオパークにおいて,考古学者の参画があまり進んでいない.行政担当者の中には,考古畑の方がいらっしゃるのだが,その方達は,ジオパークをやるということで,地学のことを理解しなければと考え,アウェーな感じで仕事をされているようである.しかし,基本的なジオパークのコンセプトは,文化財保護行政と割と近いものがあり,考古をしっている行政の方は,実は,ジオパークの今後をううまく回していくために,必須の人材なのだと思う.考古学者が今後ジオパークの活動に積極的に入ってくる道筋が作れればと考え,また,ジオパークコミュニティーの人間に何が足りないのかを考えるため,今回のミニワークショップを企画した.

 このスライドは,そのときの趣旨説明のために作ったもの.

Agora 2012

ワークショップ 「自然の遺産としての加奈木のツエ」

以下のワークショップを開催致します.ご興味をお持ちの方は,是非,ご参加下さい.

ワークショップ 「自然の遺産としての加奈木のツエ」
目的:四国の室戸半島には,加奈木崩れという大規模崩壊地が存在する.ここは,以前より,崩壊について研究が進められ,最近は室戸ジオパークジオサイトになり,注目が集まっている場所である.
この加奈木の崩壊地(ツエ)が,地域の自然の遺産として,地域住民に正しく理解してもらえるようになるためには,研究者が情報発信につとめなければならないだろう.ワークショップでは,大規模崩壊地についての地域住民への情報発信と,ツーリズムの素材としての活用にはどのようにすればよいか,研究者,ジオパーク関係者,地域住民とが意見交換をし,その協働モデルをつくることを目的とする.
本ワークショップでは,崩壊地の巡検と,地域住民(含む中学校)での情報発信と意見交換の場をつくる.地形学的な観点や,地域の人たちとの関わりなど,様々な視点で崩壊地というものを考えたい.このワークショップの成果は,今後の室戸ジオパークの活動の中で活かされることが期待される.
後援:日本地すべり学会(申請中),室戸ジオパーク推進協議会
プログラム:

  • 11/18(日) 加奈木のツエ巡検

 案内者:柚洞一央(室戸ジオパーク推進協議会),目代邦康(自然保護助成基金)
 9:00 室戸市役所前集合,9:30 佐喜浜生活改善センター前集合.現地へ移動.
 16:00 室戸市役所前解散.

  • 11/19(月)

 13:00〜14:30 佐喜浜中学校3年生12名を対象にした講演会.
目代邦康「大規模崩壊地のメカニズムと崩壊による河道のせき止め」
池田 宏「流域で土砂移動を考える」
柚洞一央「室戸ジオパークと大規模崩壊地」
ほか
 19:00〜21:00 ワークショップ「加奈木のツエについて考える」
 会場 佐喜浜生活改善センター(781-7220 高知県 室戸市 佐喜浜町1691)
 講演:目代,池田,柚洞.
 講演後,近隣住民と意見交換.
世話人目代邦康(自然保護助成基金)・栗下勝臣(土木管理総合試験所)
参加申し込み
 このワークショップへの参加を希望される方は,以下の項目について,世話人の目代まで,11/15までにメールでご連絡ください.

参加申し込み
■参加プログラム(どれに参加するかお答え下さい)
(1. 加奈木のツエ巡検, 2. 地元公民館でのワークショップ)
■氏名(ふりがな)
■所属
■年齢
■性別
■当日現地までの交通手段
保険の手配はいたしませんので,巡検に参加される方は,ご自身でご手配下さい.

古本の書き込み

最近,古本を通信販売で買うことが多いのだが,つい先日買った2冊がどちらも書き込みのある古本だった.一方は,私の蔵書の中で,最上級の扱いをうけるものとなり,もう一方は,店に送り返して返金して貰った.前者は,貝塚ほか(1963)「日本地形論(上)」地学団体研究会である.この本が,小林国夫の蔵書印が押されているものだったのだ.所々に赤線が引いてあり,書き込みもいくつかある.谷津栄寿の河床礫の研究や,海岸についての記述がチェックされている.本への書き込みは,私的な行為で,人に見せることなど想定していない.そのような秘め事ともいえるものを,のぞき見している気分で,なんとも不思議な感じになる.
同じように,書き込みが多い本を,やはり古本屋の通販で買ったのだが,こちらは,学生さんがいろいろ勉強しながらメモしていたようだ.これは,私の読書の妨げになるので,返金して貰うことにした.同じ書き込みであるが,対照的な対応となった.
以下,解説.「日本地形論(上)」は,東大出版会より出ている「新編日本地形論(1973)」の元になった本である.下があるのかというと,地団研からは発行されていない.はしがきには,「下巻に第2部をふくむが,(中略),第2部はできるだけ地方誌風に書いてみた」と書かれている.見込みで書いたのであろう.結局,この上巻の内容に,その後10年の成果が加えられ,新編日本地形論がだされ,下巻は幻になってしまった.
著者に名前の挙がっている方々は,戦後日本の地形学を牽引された方々である.非常に忙しく,地方誌編を書く時間はなかったと思われる.しかし,その企画は,結局,2000年より刊行された「日本の地形」(全7巻)(東大出版会)として,まとめられることになる.

日本地形論〈上〉 (1963年) (地学双書〈19〉)

日本地形論〈上〉 (1963年) (地学双書〈19〉)


新編 日本地形論

新編 日本地形論