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諫早シンポジウム

干潟を守る日2011として,諫早干潟緊急救済本部と有明海漁民・市民ネットワーク主催で行われたシンポジウムに参加.2010年末の東京高裁で諫早湾を締め切った潮受け堤防開門の判決がでたが,農水省環境アセスが必要として未だに開門をしていない.このような現状で,今後のスムーズな開門を目指してシンポジウムが企画された.開門しても農業は継続出来ること,国がこれまで主張してきた防災上のメリットは不十分であり,開門によって減災になることではないことなど演者から報告があった.
佐藤慎一氏(東北大)は,これまで継続して調査してきた生物学の調査結果を報告した.過去の短期開門の際に貝類の生育地が回復しているデータを元に,時間はかかっても,開門により生物相の復活はあることを説明した.弁護団の堀良一弁護士からは,判決の意義の説明があった.これまで国が説明してきた,干拓事業による漁業被害の因果関係,農業被害の見通し,防災効果について,どれも根拠となる証拠がないものであり,裁判により原告の主張が完全に認められたことを説明した.現在は,国が開門に向けて動きを起こさなければならない時であるが,国は環境アセスが必要として,5月末までの引き延ばしをはかっているという状況である.この判決に対して再度裁判を起こす動きがあるが,一度,判決が下ったものが覆されることはないとのこと.政治的なアピールだけの意味だろうとのこと.
フリーディスカッションでは,参加者から様々な意見が述べられ,シンポジウムのタイトルにもあるような農漁共存をどのように実現していくかを考えなければならないことなどが話し合われた.
シンポジウム後の19日に,県の農業振興公社と入植者は長崎地裁に開門阻止訴訟を起こした.原告弁護団は「8年も法廷で論争し,論点は出尽くした.差し止められる可能性はない」とする声明を発表した.
開門が決まった現在,入植者と漁業者の現在の対立状況を解き,今度,どのようにしていくかを話し合う場が必要である.
また,現在,開門反対を主張する側は,諫早市民に向けては,堤防が災害を守るということを,PRしている.潮受け堤防の減災機能は,元々十分でないことを示す必要があるであろう.これまで,防災機能についての検証は十分行われていないので,その調査,分析も今後必要であろう.

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