kmokudaiの読書日記と雑録

もともと読書日記としてはじめたので読書日記に戻します.あと,ちょっとした思いつきなど.研究っぽい話しは,https://researchmap.jp/kmokudai/研究ブログ/に書いてます

鈴木秀夫家訪問

学部時代に読んだ本で,今でも時々読み返してみる本がある.そのうちの一冊が鈴木秀夫「風土の構造」.私が読んできたいろいろな本は,たとえば地形や生態などの自然史研究の面白さを教えてくれたが,「風土の構造」はちょっと別格である.「風土の構造」は,地理学の本であることは確かであるが,入門書というには歯ごたえがあり,専門家向けだけに書かれた本でもない.「科学」の本というべきか,鈴木地理学の本というべきか.多くの人に見えていない世界がそこにあるということを見せてくれて,その本の中には多くの地図がある.地図の持つ力を感じさせられる.そしてこの本を読みかえすたびに,科学者鈴木秀夫の面白さと深さを感じるのである.
小口さんに声をかけていただき,その鈴木秀夫さんのお宅に,江崎さん,財城さん,赤坂さんらと一緒におじゃまして,お酒を飲みながら,いろいろお話しを聞かせて頂いた.エチオピアの話や研究の話,本や辞書の話など.話の中に出てきた学者は,ケッペン,アリソフ,アウグスティヌス,飯塚浩二など.初めてお会いしたのだが,本を読んで感じていたご本人の感じとそれほど違わず,不思議な感覚だった.お話を聞くと,考え方が明瞭で,スケールが大きく,突き抜けている.ある事柄について世界全体を俯瞰したときに,それをまとめる仕事がなされていないと感じたときに,その仕事は自分の仕事だと思われる感性に感動した.もう少し勉強したあとで,またお話しする機会を持ちたいと思いながら帰宅.
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4061588192風土の構造 (講談社学術文庫)
講談社 1988-02

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4140013125森林の思考・砂漠の思考 (NHKブックス 312)
日本放送出版協会 1978-03

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