砦に拠る

昨今のダム予算凍結に関連して調べものをしているのだが,その作業のなかで,これまでダムを題材にした小説がいくつも出されていることを知った.松下竜一は火力発電所建設反対運動をしながら,文筆業をしていた作家である.その松下竜一が下筌ダム反対闘争をしていた室原知幸について書いたものである.少々厚い本であるが,一気に読めた.現地の正確な記載と裁判書類の引用などから,当時の緊迫した空気が伝わってきた.国家権力によって,自らあるいは住む土地に対して不利益がもたらされるとき,個人はそれにどう対峙すべきであろうか.室原知幸の生き方から地域を守ることの真髄を垣間見ることができたような気がする.

砦に拠る (講談社文庫)

砦に拠る (講談社文庫)


これまでに,筑摩書房,講談社文庫,ちくま文庫,河出書房新社松下竜一その仕事」から出版されているがいずれも絶版もしくは品切れ.