kmokudaiの読書日記と雑録

もともと読書日記としてはじめたので読書日記に戻します.あと,ちょっとした思いつきなど.研究っぽい話しは,https://researchmap.jp/kmokudai/研究ブログ/に書いてます

一般公開の記事

地質標本館夏の特別展「美しい砂の世界」と産総研一般公開日における地質標本館でのイベント

地質標本館では,7月22日の産総研一般公開の日から9月22日まで,夏の特別展「美しい砂の世界―不思議な砂・美しい砂・役に立つ砂―」を開催しています.この特別展では,日本と世界各地の76地点の砂の画像や,黄砂や液状化現象(噴砂)などの砂にまつわる地球科学現象についての解説,資源としての砂についての解説など,砂の様々な側面に焦点をあてて,ポスターによる展示を行っています.一般公開当日は,この特別展に関連した体験イベント,普及講演会,そして薄片室の見学ツアーを実施しました.
標本館館内には,新島から取り寄せた流紋岩起源の白い砂の砂場がつくられました.そこには,プラスチックのお皿に幾何学模様の穴を開けた簡易版の「砂変幻」がおかれ,多くの子供たちが遊んでいきました.「砂変幻」とは,地質調査所OBの有田正史さんが考案,作成された砂のおもちゃです.砂場の周囲には,これまでにつくられた全ての「砂変幻」が並べられ,子供から大人まで,たくさんの人が手にとって楽しんでいきました.初期作品は,幾何学模様が現れるものでしたが,最近のものは茨城をはじめとして各地の地形が出現するものです.山や湖の配置と水系の関係が読みとれる大変興味深い物で,山の比高がどのようにして決まっているのかなど,深く考えさせるものとなっています.また,古代エジプトでは,巨大な花崗岩の石柱を立てるときに,砂が使われていたと考えられています.そのしくみが理解できるミニチュア版も有田さんにより作られて,展示されました.その他,ワイングラスに鳴り砂を入れて,木の棒でつついてならす鳴り砂の体験コーナーや,液状化現象が簡単に再現できる「エキジョッカー」も多数用意され,多くの人が楽しみました.
地質標本館の玄関前では,砂を使った5種類の実験が行われました.三角州の形成実験,沈降管を使った水中での砂などの沈み方を見る実験,砂を使っての安息角の実験,ウェーブリップルの形成実験,振動により砂がどのような模様をつくるかといった実験です.当初は,時間を限定して行われる予定だったのですが,見学者が絶えなかったため,終日実験が繰り返されました.いずれも簡単な装置を使っての実演なのですが,それぞれの現象に詳しい研究者が解説をしながら実験を見せるため,非常におもしろい実演となっていました.
薄片室のスタッフによる薄片作成の見学ツアーも実施されました.1回につき5名程度で4回行う予定でしたが,親子での参加もあり,定員を越える26名の方が参加されました.実際に稲田花崗岩の薄片を作成する工程を見学し,最後にできあがった薄片を顕微鏡で見てもらうというものです.薄片を見たこともさわったこともない人ばかりですので,全てが驚きの連続だったようです.参加者は,もとの花崗岩の状態と,顕微鏡でみた薄片との違いに大変驚いていました.また,多くの質問が寄せられていました.
共用講堂大会議室では,上記の砂の特別展に関連して,地質標本館普及講演会として,地圏資源環境研究部門の須藤定久氏と,有田正史氏による「砂」に関する講演会が行われました.会場からは,多くの質問が寄せられ盛況のうちに終わりました.
産総研一般公開日は,1年のうちで最も来館者が多い日で,その数は1868名にもなり,す.これだけの人数にもかかわらず,今回のイベントでは,実演や自分で体験できるものが多く,職員が直接語りかけるものであったため,来館者にとっては満足度の高いイベントであったと思われます.