研究ミスコンダクト

http://d.hatena.ne.jp/kmokudai/20050914で,実験データに疑いを持たれた論文について,意見を書いた.そのときに,産総研や,該当センターでのプレスリリースがないと書いたが,そのときからおよそ1週間後にプレスリリースがされていた.
AIST|404 Not Found(2005.9.22)
その予備調査の結果が出たようで,それがプレスリリースされた.
AIST|404 Not Found(2005.12.2)
その内容については,各種報道機関でも報道された.

産業技術総合研究所のセンター長を兼務する多比良和誠・東大教授らの論文について、結果を裏付けるデータが確認できなかった問題で、同研究所は2日、外部委員を含む調査委員会を設置して調べることを決めた。(朝日新聞 2005.12.2)

今回は,問題ありということで調査が継続されるが,問題なかったら予備調査で終了してしまっていたのだろうか.これから開かれることになる調査委員会には,外部調査委員が含まれるが,予備にしろ,これから開かれる調査委員会にしろ,透明性を高めるために委員の名前は公表すべきではないか.
そもそも,RNA学会が公表しているように,2005年3月の時点で,「国内外の専門家6名に同教授の十報余の論文について意見聴取を行ないました。その結果、全員から実験の再現性に問題があるとの指摘があり、加えて論文の内容についてもさまざまな疑義が呈されました。」という状況である.その後の4月1日に東京大学大学院工学研究科に,RNA学会が,事実関係の確認を求めている.そして9月13日のマスコミへの調査結果発表となったのだ.そこまでわかった段階でなぜ,産総研は予備調査を行うのか.これから行う,外部調査委員を含めた調査委員会は,いったい何をするのか.時間がかかりすぎではないのか?時間がかかると忘れ去られてしまう.責任の所在 : 生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログにかかれているように,時間がたって問題がうやむやになってしまうことはさけなければならない.
研究所には,捜査官のような人間はいない.問題解明に時間がかかるのが,人手不足であるとするならば,RNA学会が本問題に関して提言している「独立した第三者による「研究倫理委員会」(Committee on Ethics in Research)の設立」といったことが,今後しかるべきところで議論されるべきだろう.

産総研のプレスリリースでは,今回の問題は,「研究ミスコンダクト」とされている.専門家向けの文章ではなく,プレスリリース(広報)なのだから,もっとわかりやすい言葉で書くべきだろう.意味は,研究上の不正行為といったところか.辞書によれば,misconduct n 非行,不行跡,姦通,不義,違法行為,職権濫用,ずさんな管理,妥当を欠く措置,へたな施策,とある.
日本学術会議 学術と社会常置委員会報告「科学におけるミスコンダクトの現状と対策」によれば,

科学上の「ミスコンダクト」とは,(中略)捏造(Fabrication)、改ざん(Falsification)、盗用(Plagiarism)(FFP)を中心とした、科学研究の遂行上における非倫理的行為を指している。

404 Not Foundが制定されたのが2005年8月で,その1ヶ月後に,捏造疑惑事件が起こった.なんとタイミングのよいことか.

http://d.hatena.ne.jp/yama_tah/20051203#p2