ベンチ・海食台

茅根 創・吉川虎雄: 房総半島南東岸における現成・離水浸食海岸地形の比較研究. 地理学評論 59A:18-36,1986

昨年度実施した海食台実験の話をまとめるべく,文献収集.表記の論文は前から読んでいたが,また改めて読み直す.こういう論文好きだなあ.いままできちんと認識されていなかった地形を,それが形成されるプロセスを考えながら観察すると,そこに存在するシステムが見えて来るというもの.

p.31
「現在は過去の鍵」といわれるように,過去における地形発達の解明には,現在の地形現象に関する知見をできるだけ活用しなければならない.しかし,このような単純明快な視点が案外等閑視され,十分な検討を経ないままに,常識化した旧汀線に関する考えにもとづいて,研究が進められてきた点はなかったであろうか.

さらに,続く文章がすごい.このような文章が書ける研究者は立派だ.

長くこの方面の研究を続けてきた筆者の一人は,この点について自省の念を禁じえない.地形研究における営力論的なアプローチと発達史的なアプローチとの融合の必要性が痛感される.