超火山 槍・穂高

著者の一人の原山氏の研究成果により,槍・穂高連峰のあたりには,かつてカルデラがあり,カルデラ内の火砕流堆積物が削られて現在の山体を作っていることが,わかってきた.そのような成果を,もう一人の著者である山本氏との対話形式により,わかりやすく示そうとしたのが本書.研究成果は,非常にロマンがあり,おもしろい話である.掛け合いの部分が多いがそれよりも,普通に書かれた,著者が遭難しかけたエピソードなどを含む「笠ヶ岳ストーリー」などのほうがすっきり読めた.しかし,ダイナミックな,先端の地質学の成果をわかりやすく書こうとした意図は評価される.
地質学的にみれば,いろいろな経歴をもつ飛騨山脈の山々であることがわかったが,その山の地形を考えてみると,山の高さはだいたい同じ程度であるし,山容も多少バリエーションに富むが,それほど大きな違いはない.地質による山の地形の違いはあるが,それ以上に山の地形を支配するメカニズムがあるのでは,と考えさせられた.おおよそカール地形よりも小さい規模の地形については,日本の地形学の100年の蓄積により多くのことがわかっている.しかし山脈スケールの地形について,これまで地形学は何を明らかにしたのか,考えてみるとそれほど理解は進んでいないのではないかと感じる. 著者が地道なフィールドワークからスケールの大きな飛騨山脈の形成過程を解き明かしたように,山の地形研究者は,現在見られる山脈スケールの山の地形について,地球物理学や地質学とは違った切り口で調査をし,実態を明らかにしていかなければならない.

超火山「槍・穂高」―地質探偵ハラヤマ/北アルプス誕生の謎を解く

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