土石流災害

あと書きにも書かれているが,住民,工事関係者,地方自治体の担当者が基本的な情報を共有するための一つとの手段としてまとめられた. 章立ては,「土石流」というよりも「砂防」関連する項目があげられていて,それぞれ説明がある. 特に土石流そのものの自然科学的な記述はあまりない. しかし,マニング式や,フルード相似則などの言葉も用いており,どのような人を対象としているかわからない.また,たとえば危険な渓流はどこかというはなしは,「土石流危険渓流」に指定されている渓流は危険,その分布は地方自治体に問い合わせればわかるといった内容である. これでは,斜面災害に関心をもった人が,本屋でわざわざ「土石流災害」という本を手に取らなくても得られる情報の程度である. 川の働きとして上流の土砂を下流に運ぶが,これは地辷り,崩壊,土石流などの現象を含み,流域にくらす人々に災害をもたらす.平野で暮らしている人間は,運ばれた土砂の上に暮らしているのであって,自然の働きを完全にコントロールするのは困難である.自然の働きをうまくコントロールし,つきあっていく必要がある.いかにうまくつきあうかという考え方を広めていくべきであろう.

土石流災害 (岩波新書)

土石流災害 (岩波新書)